2020年11月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
トレス遊び(頭文字ダム、ロゼマオー)
頭文字D(ダームエル)
2020/11/02 02:48:02

みどりのロゼマオー フェル兵衛親分はリス
2021/03/21 00:20:37

レッサーくんにしなかったのはわたしがマキバオー(たれ蔵)が好きだからです
#ダームエル #フェルディナンド
頭文字D(ダームエル)
2020/11/02 02:48:02

みどりのロゼマオー フェル兵衛親分はリス
2021/03/21 00:20:37

レッサーくんにしなかったのはわたしがマキバオー(たれ蔵)が好きだからです
#ダームエル #フェルディナンド
2020年6月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
(未完注意) お蔵出し フラン視点、神殿学校の放課後
未来のアレキ神殿妄想。孫のいる歳のダームエルと、フランが、神殿学校の教師になっているお話。未完ですが、「このくらい先の2人の姿が見たいんですよ、どなたか!」と言ってるだけでもアレなので、自分の妄想を公開してみました。
「ダームエル先生、フラン先生、皆様。またの水の日、光の女神の訪れと共に」
「光の女神の訪れと共に」
翌日が休みの時の、普段とは少しだけ違う別れの挨拶の唱和を終え、神殿学校の子供達が帰って行きます。
教室では生徒はみな『生徒』、平等に扱われますが、社会を知る必要もあるため退出は基本的に身分順です。貴族や一部の豪商の子供には迎えが来ている場合もあり、そういった子供達を後にすると待合い室の使用が長引いてしまいますから、立場が上の者を先にするほうが効率的だという理由もあります。
通いの子供達が全員講堂を出て行き、神殿の子供達が神殿内に向かうのを見送って、施錠。それが普段の流れです。
しかし、今日は一人だけ貴族の子供が残っていました。洗礼式を終えたにしては少々小柄な女の子です。
私達のかたわらに立ち、もじもじとダームエル様を見上げています。その様子だけで彼女が何を求めているかは明白ですが、ダームエル様は目を細めたまま静かに彼女が口を開くのを待っていました。
「……ダームエルおじい様。今日は本当におじい様のお宅におうかがいしてもよろしいのでしょうか?」
「あぁ。約束していた通り、私の騎獣で帰ろう。だからきちんと待合室で待っていなさい」
「はい!」
ダームエル様がうなずくと、彼女はぱっと新緑が芽吹くような笑みを浮かべて、駆け出したいのを一生懸命抑えているような足取りで講堂を出て行きました。
あわただしい、と言ってもいいようなその後ろ姿に、私達はどちらからともなくクスリと笑いました。
「彼女はいつも活動的ですね」
「元気すぎて側仕えを困らせているそうだからな。
あの子は移動するにも、馬車より騎獣に同乗するほうを、騎獣でも乗り込み型より従来型のほうを好むのだ。
健康なのは喜ばしい限りだが、私も少々戸惑っている。
一体誰に似たのか……」
落し物や忘れ物がないか講堂内を見て回りながら、ダームエル様は肩をすくめました。
私は知る限りの彼女の縁者を思い浮かべます。祖父のダームエル様、祖母のフィリーネ様。ご両親とそのご兄弟。従兄弟。彼女に似た性質の方はいらっしゃいません。ダームエル様の兄君のヘンリック様も、緊張して会議にいらっしゃる姿か、温かみのある微笑しか記憶にありません。
しかし。
……心当たりはあります。
私はその名を口にして良いものか少し迷いながら、正面扉の前に立ちました。
「……コンラート様ではございませんか」
コンラート様はエーレンフェストの神殿で孤児院長を勤めていらっしゃる青色神官で、ダームエル様の義弟です。彼女から見れば祖母の弟にあたりますが、身寄りのない平民として洗礼式を受けたため、公の関係は失われている家族なのです。
ダームエル様が一瞬、足を止めたのが見えました。
「……フランもそう思うか」
「はい。髪の色も少し似ていますが……彼女の瞳を見ていると、活発になられてからのコンラート様を思い出します」
がちゃり、と正面扉に施錠して、私は次の扉に向かいました。
「そうか……」
ダームエル様は足を進めながら深く息をつきました。
コンラート様は本人さえその気になれば貴族として洗礼式を受けることもできる方でした。当時のフィリーネ様は未成年で後ろ盾になることが困難でしたが、支えることのできるダームエル様がいらっしゃいました。支援を受ければ、コンラート様は貴族になれたのです。
しかし、親に虐げられ見捨てられたコンラート様は貴族の身分を望まず、フィリーネ様も婚約によるダームエル様の支援をきっぱりと断ったそうです。
そこで、縁談そのものを拒否されたと誤解したダームエル様がひどく落ち込んだりもしましたが、それは置いておいて。
ダームエル様もフィリーネ様も、コンラート様に対してできることをしなかったのではなく、コンラート様の意思と選択を尊重したのです。
それでもお二人はコンラート様を惜しむ気持ちも止められませんでした。もし貴族になっていたなら、誰にはばかることなくフィリーネ様を姉と呼び、そのお子様を抱きしめることもできたのですから。
会わせてやりたいものだと。お子様を連れて神殿にいらしたダームエル様がぽつりとこぼされた時、私にはそれが「誰に」なのかすぐにわかりました。当時のアレキサンドリアの神殿教室はまだ小さく、元となったエーレンフェストの孤児院の一室を思い出すような部屋だったからです。
……しかし、それももう何十年も前の話。
成人したコンラート様は隣の領地にいても活躍を耳にするほどの『商人系神官』となり、神官長のディルク様と共にエーレンフェストの神殿を支えるようになりました。印刷業でつながりのあるダームエル様のご実家や商人達との関係も良好。神殿の各部屋の厨房を利用した料理人の育成から、食に携わる商会への影響力も強め、新たな味の分野にも一役かうようになったそうです。
ついにはアレキサンドリアのご家族との面会も果たされて、距離の遠さはあれど、貴族になれなかったことを惜しむような空気はすっかり影を潜めました。
今やコンラート様のお名前はエーレンフェストの話をしていると時おり自然に出てくるもので、口にするのをためらうことなどなかったのです。
こうして「似ている」という話になるまでは。
がちゃり。二枚目の扉を施錠して、私も歩き続けます。
「……あの子は」
ダームエル様が、お子様を連れて来られたあの時のように、ぽつりと口を開きました。
「育つにつれ、コンラートに似てきた。
真っ先に気づいたのはフィリーネだ。あの子の両親はフィリーネに似たのだと思っているが……見ての通り、幼いころのコンラートのほうがより近い。
そして、似ているのは外見だけではない。
あの子はコンラートと同じお話を喜び、同じ遊びに夢中になるのだ。
今はお話も玩具も昔とは比べものにならないほど増えたのに、不思議なほどコンラートと似た物を選ぶ。
それでいて……騎獣に喜び、シュタープをうらやむ」
私は内側から施錠する最後の扉に手をかけました。ダームエル様は話を続けます。
「あの子が貴族特有のものを求めるたび、我々はどうしても思ってしまうのだ。
#本好き未来妄想 #ダームエル #フラン
未来のアレキ神殿妄想。孫のいる歳のダームエルと、フランが、神殿学校の教師になっているお話。未完ですが、「このくらい先の2人の姿が見たいんですよ、どなたか!」と言ってるだけでもアレなので、自分の妄想を公開してみました。
「ダームエル先生、フラン先生、皆様。またの水の日、光の女神の訪れと共に」
「光の女神の訪れと共に」
翌日が休みの時の、普段とは少しだけ違う別れの挨拶の唱和を終え、神殿学校の子供達が帰って行きます。
教室では生徒はみな『生徒』、平等に扱われますが、社会を知る必要もあるため退出は基本的に身分順です。貴族や一部の豪商の子供には迎えが来ている場合もあり、そういった子供達を後にすると待合い室の使用が長引いてしまいますから、立場が上の者を先にするほうが効率的だという理由もあります。
通いの子供達が全員講堂を出て行き、神殿の子供達が神殿内に向かうのを見送って、施錠。それが普段の流れです。
しかし、今日は一人だけ貴族の子供が残っていました。洗礼式を終えたにしては少々小柄な女の子です。
私達のかたわらに立ち、もじもじとダームエル様を見上げています。その様子だけで彼女が何を求めているかは明白ですが、ダームエル様は目を細めたまま静かに彼女が口を開くのを待っていました。
「……ダームエルおじい様。今日は本当におじい様のお宅におうかがいしてもよろしいのでしょうか?」
「あぁ。約束していた通り、私の騎獣で帰ろう。だからきちんと待合室で待っていなさい」
「はい!」
ダームエル様がうなずくと、彼女はぱっと新緑が芽吹くような笑みを浮かべて、駆け出したいのを一生懸命抑えているような足取りで講堂を出て行きました。
あわただしい、と言ってもいいようなその後ろ姿に、私達はどちらからともなくクスリと笑いました。
「彼女はいつも活動的ですね」
「元気すぎて側仕えを困らせているそうだからな。
あの子は移動するにも、馬車より騎獣に同乗するほうを、騎獣でも乗り込み型より従来型のほうを好むのだ。
健康なのは喜ばしい限りだが、私も少々戸惑っている。
一体誰に似たのか……」
落し物や忘れ物がないか講堂内を見て回りながら、ダームエル様は肩をすくめました。
私は知る限りの彼女の縁者を思い浮かべます。祖父のダームエル様、祖母のフィリーネ様。ご両親とそのご兄弟。従兄弟。彼女に似た性質の方はいらっしゃいません。ダームエル様の兄君のヘンリック様も、緊張して会議にいらっしゃる姿か、温かみのある微笑しか記憶にありません。
しかし。
……心当たりはあります。
私はその名を口にして良いものか少し迷いながら、正面扉の前に立ちました。
「……コンラート様ではございませんか」
コンラート様はエーレンフェストの神殿で孤児院長を勤めていらっしゃる青色神官で、ダームエル様の義弟です。彼女から見れば祖母の弟にあたりますが、身寄りのない平民として洗礼式を受けたため、公の関係は失われている家族なのです。
ダームエル様が一瞬、足を止めたのが見えました。
「……フランもそう思うか」
「はい。髪の色も少し似ていますが……彼女の瞳を見ていると、活発になられてからのコンラート様を思い出します」
がちゃり、と正面扉に施錠して、私は次の扉に向かいました。
「そうか……」
ダームエル様は足を進めながら深く息をつきました。
コンラート様は本人さえその気になれば貴族として洗礼式を受けることもできる方でした。当時のフィリーネ様は未成年で後ろ盾になることが困難でしたが、支えることのできるダームエル様がいらっしゃいました。支援を受ければ、コンラート様は貴族になれたのです。
しかし、親に虐げられ見捨てられたコンラート様は貴族の身分を望まず、フィリーネ様も婚約によるダームエル様の支援をきっぱりと断ったそうです。
そこで、縁談そのものを拒否されたと誤解したダームエル様がひどく落ち込んだりもしましたが、それは置いておいて。
ダームエル様もフィリーネ様も、コンラート様に対してできることをしなかったのではなく、コンラート様の意思と選択を尊重したのです。
それでもお二人はコンラート様を惜しむ気持ちも止められませんでした。もし貴族になっていたなら、誰にはばかることなくフィリーネ様を姉と呼び、そのお子様を抱きしめることもできたのですから。
会わせてやりたいものだと。お子様を連れて神殿にいらしたダームエル様がぽつりとこぼされた時、私にはそれが「誰に」なのかすぐにわかりました。当時のアレキサンドリアの神殿教室はまだ小さく、元となったエーレンフェストの孤児院の一室を思い出すような部屋だったからです。
……しかし、それももう何十年も前の話。
成人したコンラート様は隣の領地にいても活躍を耳にするほどの『商人系神官』となり、神官長のディルク様と共にエーレンフェストの神殿を支えるようになりました。印刷業でつながりのあるダームエル様のご実家や商人達との関係も良好。神殿の各部屋の厨房を利用した料理人の育成から、食に携わる商会への影響力も強め、新たな味の分野にも一役かうようになったそうです。
ついにはアレキサンドリアのご家族との面会も果たされて、距離の遠さはあれど、貴族になれなかったことを惜しむような空気はすっかり影を潜めました。
今やコンラート様のお名前はエーレンフェストの話をしていると時おり自然に出てくるもので、口にするのをためらうことなどなかったのです。
こうして「似ている」という話になるまでは。
がちゃり。二枚目の扉を施錠して、私も歩き続けます。
「……あの子は」
ダームエル様が、お子様を連れて来られたあの時のように、ぽつりと口を開きました。
「育つにつれ、コンラートに似てきた。
真っ先に気づいたのはフィリーネだ。あの子の両親はフィリーネに似たのだと思っているが……見ての通り、幼いころのコンラートのほうがより近い。
そして、似ているのは外見だけではない。
あの子はコンラートと同じお話を喜び、同じ遊びに夢中になるのだ。
今はお話も玩具も昔とは比べものにならないほど増えたのに、不思議なほどコンラートと似た物を選ぶ。
それでいて……騎獣に喜び、シュタープをうらやむ」
私は内側から施錠する最後の扉に手をかけました。ダームエル様は話を続けます。
「あの子が貴族特有のものを求めるたび、我々はどうしても思ってしまうのだ。
#本好き未来妄想 #ダームエル #フラン
お蔵出し パティシエダム幻の冒頭部分
『甘党パティシエ』幻の冒頭部分です〜
設定が変わったためにお蔵入りになっていたもので、まるきりの前日譚というわけではありませんが、だいたいこんな感じ。一緒に助け出されたコンラートは眠っています。
あたたかい。
やさしい。
こんなにおいしいものは、はじめて。
あの日ダームエルが焼いてくれたパンケーキを、フィリーネは一生忘れないと思う。
親に虐待されていたフィリーネ達は、数年前に家から離れた。その時、助けてくれた人の一人がダームエルだった。
保護されたことを実感し、安堵のあまり泣き出してしまったフィリーネに、ダームエルは困った顔をしながらパンケーキを焼いてくれた。
「ありあわせですまないが……た、食べれそうかい?」
フィリーネはうなずいて、パンケーキをそっと口に運んだ。
しゃくりあげながら食事をする子供なんてさぞ見苦しいだろう。申し訳ないと思ったけれど、涙は止まらない。仕方なく、ぼろぼろとこぼしながら、手と口を動かし続けた。
ただただフィリーネの涙をぬぐうためだけに作られたそれは、それまで食べたどんな物より美味しかった。
「おいしい、です。ありがとう、ございます」
やっとのことでそう言って、恐る恐る顔を上げると、ダームエルはフィリーネが思いもしなかった顔をしていた。
「……君は、強いな」
真剣な目が優しく細められる。
「こんなに辛い時に、お礼まで言えるなんて、偉いぞ」
その言葉も、フィリーネがそれまで聞いたどんな言葉よりも嬉しくて。
フィリーネは、新しい生活で様々なことを学ぶ中で、自分の気持ちに『恋』という名前がついていることを知った。
#ダムフィリ #パティシエダム #本好きファン小説
『甘党パティシエ』幻の冒頭部分です〜
設定が変わったためにお蔵入りになっていたもので、まるきりの前日譚というわけではありませんが、だいたいこんな感じ。一緒に助け出されたコンラートは眠っています。
あたたかい。
やさしい。
こんなにおいしいものは、はじめて。
あの日ダームエルが焼いてくれたパンケーキを、フィリーネは一生忘れないと思う。
親に虐待されていたフィリーネ達は、数年前に家から離れた。その時、助けてくれた人の一人がダームエルだった。
保護されたことを実感し、安堵のあまり泣き出してしまったフィリーネに、ダームエルは困った顔をしながらパンケーキを焼いてくれた。
「ありあわせですまないが……た、食べれそうかい?」
フィリーネはうなずいて、パンケーキをそっと口に運んだ。
しゃくりあげながら食事をする子供なんてさぞ見苦しいだろう。申し訳ないと思ったけれど、涙は止まらない。仕方なく、ぼろぼろとこぼしながら、手と口を動かし続けた。
ただただフィリーネの涙をぬぐうためだけに作られたそれは、それまで食べたどんな物より美味しかった。
「おいしい、です。ありがとう、ございます」
やっとのことでそう言って、恐る恐る顔を上げると、ダームエルはフィリーネが思いもしなかった顔をしていた。
「……君は、強いな」
真剣な目が優しく細められる。
「こんなに辛い時に、お礼まで言えるなんて、偉いぞ」
その言葉も、フィリーネがそれまで聞いたどんな言葉よりも嬉しくて。
フィリーネは、新しい生活で様々なことを学ぶ中で、自分の気持ちに『恋』という名前がついていることを知った。
#ダムフィリ #パティシエダム #本好きファン小説
2020年5月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
2019年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
2019年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
甘党パティシエ外伝 かぼちゃのサラダ
現パロ。フィリーネ(喫茶店店員)狙いのダームエルと、マスターのユストクスが二人で会話する短い話。
「お疲れだな、ダームエル。今日もカボチャ漬けかい?」
「お疲れ様です、マスター。……さすがにハロウィン限定品は終わりましたよ。ですが……」
喫茶店のマスターのユストクスが声をかけると、ダームエルは力なく笑って見せた。
今日はハロウィン当日だからと、ダームエルのいる洋菓子店では小さなオマケのお菓子を用意しているのだが。いくらお菓子を差し出しても、ダームエルだけイタズラされてしまうのだそうだ。
「ハロウィンを楽しまれるのは何よりですが……私だって他の従業員のように、普通に受け取って喜んでもらいたいです」
「それだけダームエルが親しみやすいということだろう。顔が売れていて結構ではないか」
「……はい……」
うなずきながらもため息をついて、ダームエルは空いているテーブル席に腰を下ろした。
「さぁてお客様。何にしましょう」
「……今日のパスタを」
「サラダはつけなくていいのかい。今日のサラダはハロウィンスペシャルかぼちゃサラダだぞ」
「……かぼちゃはもうお腹いっぱいですよ」
眉をハの字にして肩を落としたダームエルに、ユストクスは念を押した。
「本当にいいのかい? 今日のサラダは下ごしらえからフィリーネが頑張ってい……」
「サラダセットで」
「……毎度」
ユストクスはチェシャ猫のような笑みを浮かべると、くるりと踵を返した。
[本好きの下剋上ファン作品 No.14]
#ダムフィリ #パティシエダム #本好きファン小説 #ユストクス #ダームエル
現パロ。フィリーネ(喫茶店店員)狙いのダームエルと、マスターのユストクスが二人で会話する短い話。
「お疲れだな、ダームエル。今日もカボチャ漬けかい?」
「お疲れ様です、マスター。……さすがにハロウィン限定品は終わりましたよ。ですが……」
喫茶店のマスターのユストクスが声をかけると、ダームエルは力なく笑って見せた。
今日はハロウィン当日だからと、ダームエルのいる洋菓子店では小さなオマケのお菓子を用意しているのだが。いくらお菓子を差し出しても、ダームエルだけイタズラされてしまうのだそうだ。
「ハロウィンを楽しまれるのは何よりですが……私だって他の従業員のように、普通に受け取って喜んでもらいたいです」
「それだけダームエルが親しみやすいということだろう。顔が売れていて結構ではないか」
「……はい……」
うなずきながらもため息をついて、ダームエルは空いているテーブル席に腰を下ろした。
「さぁてお客様。何にしましょう」
「……今日のパスタを」
「サラダはつけなくていいのかい。今日のサラダはハロウィンスペシャルかぼちゃサラダだぞ」
「……かぼちゃはもうお腹いっぱいですよ」
眉をハの字にして肩を落としたダームエルに、ユストクスは念を押した。
「本当にいいのかい? 今日のサラダは下ごしらえからフィリーネが頑張ってい……」
「サラダセットで」
「……毎度」
ユストクスはチェシャ猫のような笑みを浮かべると、くるりと踵を返した。
[本好きの下剋上ファン作品 No.14]
#ダムフィリ #パティシエダム #本好きファン小説 #ユストクス #ダームエル
2019年9月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
アンゲリカの助言
神殿に通い始めて落ち込んでいたころのフィリーネとアンゲリカと、アンゲリカ語を通訳するダームエルのお話。短め。
「フィリーネはすごいです。ニコラ達とも仲良くしていますから、大丈夫ですよ」
アンゲリカはそう言って美しく微笑みました。わたくしが落ち込んでいるのを心配してくれているのでしょう。
……お仕事ができていないのに、励ましていただけるなんて。
アンゲリカの優しさに、嬉しい気持ちが広がっていきます。
けれど、アンゲリカがわたくしの何を大丈夫と言ってくださったのかは、よくわかりませんでした。
ブリュンヒルデやハルトムートの言葉も難しいですが、アンゲリカはあまりたくさんお話をしないので、わたくしにはまだ意味をつかみきれないこともあるのです。
……わたくし、もっと頑張らなくてはなりませんね。
「あ〜、フィリーネ。フィリーネは自分が文官だから、書類仕事は当然だと思っているかも知れないが。
アンゲリカはおそらく、書類仕事をしているだけでも見上げたものだと言っている」
見かねたように補足してくれたダームエルに、アンゲリカがこくこくと頷きます。
「それに、ローゼマイン様が灰色神官も灰色巫女も軽んじることはないのはわかっているだろう?
我々側近が、神殿の側仕え達も尊重し、協力して仕事をこなすことも、主の要望に含まれる。
だから、皆に丁寧に接するフィリーネは、すでに一つ仕事ができているようなものだ。
慣れない書類仕事に手こずるくらい、気に病むことはない」
ダームエルが言い終えると、アンゲリカは「その通りです」と言うようにゆっくりと頷き、またニコリと笑ってくれました。見ると、給仕や片付けをしているニコラもザームも、柔らかい目をしてくれています。
「……ありがとう存じます」
わたくしも、自分の表情が自然にやわらいでいくのを感じました。
貴族も平民も、騎士も文官も側仕えも、皆が皆を大切にし、力を合わせる。ここは、ローゼマイン様の神殿長室は、そういう場所なのですね。
わたくしはおいしさを感じられるようになったお茶を飲みながら、あらためて感謝と尊敬の念を抱きました。
[本好きの下剋上ファン作品 No.12]
#アンゲリカ #フィリーネ #ダームエル #本好きファン小説
神殿に通い始めて落ち込んでいたころのフィリーネとアンゲリカと、アンゲリカ語を通訳するダームエルのお話。短め。
「フィリーネはすごいです。ニコラ達とも仲良くしていますから、大丈夫ですよ」
アンゲリカはそう言って美しく微笑みました。わたくしが落ち込んでいるのを心配してくれているのでしょう。
……お仕事ができていないのに、励ましていただけるなんて。
アンゲリカの優しさに、嬉しい気持ちが広がっていきます。
けれど、アンゲリカがわたくしの何を大丈夫と言ってくださったのかは、よくわかりませんでした。
ブリュンヒルデやハルトムートの言葉も難しいですが、アンゲリカはあまりたくさんお話をしないので、わたくしにはまだ意味をつかみきれないこともあるのです。
……わたくし、もっと頑張らなくてはなりませんね。
「あ〜、フィリーネ。フィリーネは自分が文官だから、書類仕事は当然だと思っているかも知れないが。
アンゲリカはおそらく、書類仕事をしているだけでも見上げたものだと言っている」
見かねたように補足してくれたダームエルに、アンゲリカがこくこくと頷きます。
「それに、ローゼマイン様が灰色神官も灰色巫女も軽んじることはないのはわかっているだろう?
我々側近が、神殿の側仕え達も尊重し、協力して仕事をこなすことも、主の要望に含まれる。
だから、皆に丁寧に接するフィリーネは、すでに一つ仕事ができているようなものだ。
慣れない書類仕事に手こずるくらい、気に病むことはない」
ダームエルが言い終えると、アンゲリカは「その通りです」と言うようにゆっくりと頷き、またニコリと笑ってくれました。見ると、給仕や片付けをしているニコラもザームも、柔らかい目をしてくれています。
「……ありがとう存じます」
わたくしも、自分の表情が自然にやわらいでいくのを感じました。
貴族も平民も、騎士も文官も側仕えも、皆が皆を大切にし、力を合わせる。ここは、ローゼマイン様の神殿長室は、そういう場所なのですね。
わたくしはおいしさを感じられるようになったお茶を飲みながら、あらためて感謝と尊敬の念を抱きました。
[本好きの下剋上ファン作品 No.12]
#アンゲリカ #フィリーネ #ダームエル #本好きファン小説
2019年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
七夕にも落ち込んでいる現パロダームエルとほんの少しだけ親切なハルトムートの話
ほぼタイトル通りの現パロ。ダムフィリは両片思い中。
『今年こそ結婚できますように』
「……か。ハァ……」
飾り付けの終わった笹を一瞥し、ダームエルの短冊を音読したハルトムートが、あきれたように大きなため息をついた。
「……なんとでも言ってくれ。私はハルトムートのように出会いに恵まれてはいないのだ」
ダームエルは報告書を書きながら、しおしおと肩を落とした。ハルトムートは片眉を上げ、さらに大げさなため息を追加する。
「出会いに恵まれていない? ……ハァ」
「いないだろう……」
周囲にいるのは既婚者か婚約済か、立場もしくは年齢が違いすぎる者。もしも手を出したらそこで人生が終わりかねない相手ばかりだ。親しげに接してくれる者はいても、「女心が全然わかっていない」などとからかわれるばかり。恋愛対象としては見向きもされていない。ダームエルは本気でそう思っている。
「……ダームエルの目が悪いだけだ」
ハルトムートはダームエルの短冊から手を離すと、すぐ隣の一枚を手に取った。
『皆が怪我や病気などしませんように』
事務員のフィリーネの短冊だ。ハルトムートはこの『皆』に、真っ先に含まれているのが誰なのかを知っている。
「今からでも遅くない。『察しが良くなりますように』とでも書き直したらどうだ」
「うぅっ……」
ダームエルが眉をハの字にして呻くと、事務所に置くにしてはやや立派な笹が、ハルトムートに同意するかのように小さく揺れた。元同僚が事務所にと贈ってくれた笹だ。出身地に帰って結婚した彼女が、呆れたような困ったような顔で笑っているような気がした。
「私はそんなに女心がわかっていないだろうか?」
「……かなり」
ますます情けない顔になったダームエルに、ハルトムートは笹から離れながら首を縦に振った。
「今日の祭り、ダームエルも来るのだろう。せっかくだ、誰かに恋人のふりでもしてもらって、教えを乞えばいいんじゃないか」
私の妻は貸さないがな。軽い口調のままダームエルに追い打ちをかけると、ハルトムートは優雅に事務所を出て行った。一人になったダームエルは、ぐてりと机に突っ伏す。
「そんなこと、頼めるものか……」
反射的に頭に浮かんだ事務の少女の姿に、心の中でぶんぶんと首をふる。もし本当に頼んだなら面白がって付き合ってくれるかも知れないが、だからこそいけないとダームエルは思った。冗談にかこつけて交際の真似事をさせるなど、あってはならない。
少女は法律的には結婚が可能な年齢だが、まだ若い。しかも、タチの悪い実家があり実父達と距離を置くために結婚するという手段もなくはないという悩ましい事情を持っている。フリーであることだけが取り柄のようなダームエルが近寄ろうとするなんて、冗談にできないのだ。
本当に短冊の書き直しでもするかと。ダームエルは自嘲気味にため息をついた。
恋人のふりと言われてなぜ彼女を思い浮かべたのか。
『冗談』がいけないと思うのはなぜなのか。
本当に、遊びとしての不適切さが気になるだけなのか。それとも。
関係を冗談にする、嘘にするほうが嫌なのか。
ダームエルが自身に問いかけてみる余裕は、まだなかった。
----------
(2023/07/07追記)あとがき
ダームエルは『自分に対する恋愛感情』に鈍いというか、『相手が困りそうなら恋愛対象と見做さないよう(無意識レベルの抑制を含めて)努力している』人だと思うので、現パロにするとなおさら『ただの常識家では?』感がありますね……(※主観には個人差があります)
現パロの場合、「フィリーネがいるから良いだろう」と考えているハルトムートのほうが非常識とすら言えてしまうかもですけど、うちのハルトムートはダームエルがフィリーネを一生尊重できる人間だと思ってるので容赦しません(笑)
続き(おそらく似たような時空の、これより未来の話)はこちら:
[本好きの下剋上ファン作品 No.22] 現パロにぶにぶローゼマインさんの短い語り https://privatter.net/p/9562289
更新履歴:2023/07/07 加筆修正。後書き追加。
[本好きの下剋上ファン作品 No.10]
#ダムフィリ #本好きファン小説 #本好きの下剋上 #ハルトムート #ダームエル
ほぼタイトル通りの現パロ。ダムフィリは両片思い中。
『今年こそ結婚できますように』
「……か。ハァ……」
飾り付けの終わった笹を一瞥し、ダームエルの短冊を音読したハルトムートが、あきれたように大きなため息をついた。
「……なんとでも言ってくれ。私はハルトムートのように出会いに恵まれてはいないのだ」
ダームエルは報告書を書きながら、しおしおと肩を落とした。ハルトムートは片眉を上げ、さらに大げさなため息を追加する。
「出会いに恵まれていない? ……ハァ」
「いないだろう……」
周囲にいるのは既婚者か婚約済か、立場もしくは年齢が違いすぎる者。もしも手を出したらそこで人生が終わりかねない相手ばかりだ。親しげに接してくれる者はいても、「女心が全然わかっていない」などとからかわれるばかり。恋愛対象としては見向きもされていない。ダームエルは本気でそう思っている。
「……ダームエルの目が悪いだけだ」
ハルトムートはダームエルの短冊から手を離すと、すぐ隣の一枚を手に取った。
『皆が怪我や病気などしませんように』
事務員のフィリーネの短冊だ。ハルトムートはこの『皆』に、真っ先に含まれているのが誰なのかを知っている。
「今からでも遅くない。『察しが良くなりますように』とでも書き直したらどうだ」
「うぅっ……」
ダームエルが眉をハの字にして呻くと、事務所に置くにしてはやや立派な笹が、ハルトムートに同意するかのように小さく揺れた。元同僚が事務所にと贈ってくれた笹だ。出身地に帰って結婚した彼女が、呆れたような困ったような顔で笑っているような気がした。
「私はそんなに女心がわかっていないだろうか?」
「……かなり」
ますます情けない顔になったダームエルに、ハルトムートは笹から離れながら首を縦に振った。
「今日の祭り、ダームエルも来るのだろう。せっかくだ、誰かに恋人のふりでもしてもらって、教えを乞えばいいんじゃないか」
私の妻は貸さないがな。軽い口調のままダームエルに追い打ちをかけると、ハルトムートは優雅に事務所を出て行った。一人になったダームエルは、ぐてりと机に突っ伏す。
「そんなこと、頼めるものか……」
反射的に頭に浮かんだ事務の少女の姿に、心の中でぶんぶんと首をふる。もし本当に頼んだなら面白がって付き合ってくれるかも知れないが、だからこそいけないとダームエルは思った。冗談にかこつけて交際の真似事をさせるなど、あってはならない。
少女は法律的には結婚が可能な年齢だが、まだ若い。しかも、タチの悪い実家があり実父達と距離を置くために結婚するという手段もなくはないという悩ましい事情を持っている。フリーであることだけが取り柄のようなダームエルが近寄ろうとするなんて、冗談にできないのだ。
本当に短冊の書き直しでもするかと。ダームエルは自嘲気味にため息をついた。
恋人のふりと言われてなぜ彼女を思い浮かべたのか。
『冗談』がいけないと思うのはなぜなのか。
本当に、遊びとしての不適切さが気になるだけなのか。それとも。
関係を冗談にする、嘘にするほうが嫌なのか。
ダームエルが自身に問いかけてみる余裕は、まだなかった。
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(2023/07/07追記)あとがき
ダームエルは『自分に対する恋愛感情』に鈍いというか、『相手が困りそうなら恋愛対象と見做さないよう(無意識レベルの抑制を含めて)努力している』人だと思うので、現パロにするとなおさら『ただの常識家では?』感がありますね……(※主観には個人差があります)
現パロの場合、「フィリーネがいるから良いだろう」と考えているハルトムートのほうが非常識とすら言えてしまうかもですけど、うちのハルトムートはダームエルがフィリーネを一生尊重できる人間だと思ってるので容赦しません(笑)
続き(おそらく似たような時空の、これより未来の話)はこちら:
[本好きの下剋上ファン作品 No.22] 現パロにぶにぶローゼマインさんの短い語り https://privatter.net/p/9562289
更新履歴:2023/07/07 加筆修正。後書き追加。
[本好きの下剋上ファン作品 No.10]
#ダムフィリ #本好きファン小説 #本好きの下剋上 #ハルトムート #ダームエル
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※ここで言う『ショートカット』はiOSの半自動処理機能のことです、平たく言うと「iPhoneへの作業指示書」
『写真』から画像を選択(複数可)
↓
結合する?(イエスorノー)
↓
幅を変更(数値入力orデフォ)
↓
保存
↓
元画像を削除
まではできていたので、これに
『幅を表示』
を差しこみたかったんですけど、なぜか
『広大な白いスペースにちんまりと数字が書かれた画像』を作り出してしまい(手数不足)
面白かったので貼りたかったんですけど、
ツイッターさんはスマフォからでは頑としてこういうGIFファイルを貼ってくれないのでした……8KBしかないのに!
スッカスカで、2400×3150もあるのに8KBしかない、むしろ美しさすら感じる軽さと白さですのに……
エーヴィリーベだって欺けそうですのに……
というわけでわざわざTwitter外にアップしたものがこちらです
美しき白